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地元仙台の「KHB・朝日新春囲碁フェスティバル」に参加した6歳の一力遼=2003年1月25日、仙台市、親族提供
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 素因数分解は癖で、完全数が好き――。31日に決着した第49期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)を制した一力遼(27)は、幼少期から数字に関する特殊な能力を持ちながら盤上の夢を追いかけてきた。

 七番勝負の途中、東京駅で新幹線に乗車する時のこと。一力は「こだま731号」との表示を見ると、瞬時に素因数分解をして「17×43」の解を導いた。「自然と考えてしまうんです」。路上でも車のナンバープレートを眺めては同じことをする。「趣味です。考えることが純粋に好きなんだと思います」。身の回りに現れる数字という数字は、常に思考と探究の対象になる。

 囲碁と出会って夢中になった幼稚園児の頃、数字にも心酔した。お絵描きの時間には画用紙いっぱいに数字を描いた。「物心ついた頃には囲碁と数字が身近にありました。思いは20年以上変わりません」。好きなだけでなく、異次元の才能があった。卒園前には独学で√(ルート)の計算ができるようになっていた。誰かに生年月日を聞くと、当日が何曜日かを即座に言い当てることができた。「カレンダーを持ち歩いていたみたいです。曜日の計算はうるう年などの関係で28年周期ですから分かります」。記者の生年月日を告げると数秒後に正答した。「4歳の頃ならパッと返せましたけど」

 小学2年の時、掛け算におけ…

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